アニメ声の演技が嫌い!?自然な演技を追い求める声優志望者に知ってほしいこと
私、アニメ声を使った演技は嫌いです!もっと自然な演技ができる声優になりたいです!!
アニメ声優を目指しているけど、アニメ声を使った演技は好きじゃない。
このように思っている声優志望者は非常に多いのではないでしょうか。
私はその考えは決して否定はしません。
なぜなら、演技の好き嫌いは個人の自由であり、どのような声優を目指すのかもあなたが決めるべきだからです。
ですが、こうも思ってしまいます。
非常にもったいないな~と。
アニメ声は自然な演技ではない?
実は、私の知り合いにもアニメ声が嫌いな声優志望者がいましたので、なぜ嫌いなのかを聞いてみたことがあります。
すると、「アニメ声の演技は自然じゃないから嫌」と答えました。
なるほど、確かに普段からアニメ声を出している人はどうしても目立ちます。
そして、外画やテレビドラマなどでアニメ声の演技をしている役者がいた場合、違和感を覚えるかもしれません。
ですが私は、アニメ声の演技=自然じゃないという意見には賛同できませんでした。
アニメは絵が強いため大きく演じなければ埋もれてしまう
一つ例を挙げましょう。
水田わさびさんが演じているドラえもん、小林由美子さんが演じている野原しんのすけ、大谷育江さんが演じているワンピースのチョッパーでも構いません。
これらのキャラクターを演じている声ってアニメ声ですよね。
あなたはアニメを観ていて声に違和感を感じたことはありましたか?
アニメーションは絵自体が視聴者に強い印象を与えます。
また、音の演出もド派手なものが多いですよね。
そうなると、声優さんが演じる声もキャラクターに負けない存在感が必要になります。
関智一さんが演じているスネ夫の声を思い出してください。
もし関さんがスネ夫の声でテレビドラマに出演していたらどんな感じになるでしょうか。
それがコメディ作品なら問題ないかもしれませんが、自然な演技とは言えないと思います。
媒体によって自然に感じる演技は違う
しかし、ドラえもんを観ていて、スネ夫の声に違和感を覚える人は少ないのではないでしょうか。
少なくともテレビドラマで聞くよりは自然な演技に聞こえるのは間違いないと思います。
そして、実写映画やテレビドラマで活躍されている有名な俳優さんがアニメ声優に挑戦してみた時。
あなたはその演技に物足りなさを覚えませんでしたか?
つまり、媒体によって自然と言われる演技は異なってくるということです。
そもそもアニメは、動物やロボット、宇宙人まで演じることがあるのです。
そのような個性の強いキャラクターを普通に演じてしまえば、物足りなさを覚えるのも当然と言えるでしょう。
外画の演技は演じている役者に寄り添う
ちなみに同じ声優の演技でも、外画は少し異なります。
外画は既に演技をしている役者さんに声を当てていきます。
そのため、演じている役者さんに合っていない声や演技をすることはできません。
それは非常に繊細な演技が求められることを意味します。
また、海外の方と日本人の表現の違いについても気を付けなければなりません。
彼らは感情表現が非常に豊かな方が多いので、声優も喜怒哀楽を大きく、そしてはっきり表現する必要があります。
このようにアニメと外画という枠組みの違いだけでも求められる演技は異なることを覚えておいてください。
演技方法は音響監督さんの指示でも変わる
ただ、ひとつだけ注意してほしいことがあります。
上記のお話は、あくまで今現在のアニメや外画の演技に対する一般的な考え方です。
例外はもちろん存在するでしょうし、これからどんどん変化していくことでしょう。
また、声優の演技は、声優ひとりで作るものではありません。
収録現場には、声優に演技の指示を出す音響監督がいます。
音響監督とは、声優に関するキャスティング権を持っている、作品の音に関する責任者のようなものです。
声優は音響監督と演技やキャラクターのすり合わせを行い、作品を作っていくのです。
つまり、声優の演技には様々な状況に応じた対応力も必要となるのです。
食わず嫌いはもったいない
アニメ声の演技は嫌い。
これは個人の気持ちの問題ですから、それを否定するつもりはありません。
ですが、あなたが声優になりたいのであれば、アニメ声の演技=自然じゃないという考えは変えてもいいのではないでしょうか。
そもそも、アニメ声の演技は音響監督に必要だと判断されているから使われるのです。
そして、あなたがアニメ声優を目指すのであれば、いずれアニメ声を求められることもあるかもしれません。
その時に、アニメ声が嫌いだからできないのではなく、どんなチャンスもモノにするしたたかさを持って頂きたいと思います。
食わず嫌いはもったいないですよ。